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​​佐藤 駿 (Shun Satoh)

現在の所属: 京都大学 白眉センター

  • 2014年 水産大学校 海洋生産管理学科卒業 (水産学士)

  • 2016年 大阪市立大学大学院修士課程修了 (理学修士)

  • 2017年〜2019年 学振特別研究員 (DC2)

  • 2019年 大阪市立大学大学院博士課程修了 (理学博士)

  • 2019年〜2020年 大阪市立大学理学部 特任助教

  • 2020年〜2023年 総合研究大学院大学 学振研究員 (学振PD)

  • ​2023年〜現在  京都大学白眉センター(理学部生物科学科動物生態学研究室受け入れ) 特任助教 

基本的にただのサカナオタクです。特に南米産魚類が大好きですが、ニッタンならタナゴ好きですね。ディスカスは神なのでライフワークというか、もっと高次なアレです。ディスカス界では時間軸は重力として作用する的アレデス。

研究のスタンスとしては『研究をすること』です。つまり、私はただのサカナオタクなので大好きなサカナを見ていられればいいんです。手段のためには目的を選びません。ただ、そんな中でも面白そうなネタを研究しているつもりです。誰かと相互作用するのが好きなので一緒に研究できる友達探しています。

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自己紹介: 概要
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魚類の粘膜給餌

魚類の子育ては約21%の科から報告される比較的一般的な行動です。しかし、孵化後に給餌をする種類が極めて少ないはご存知のとおりです。私は、そんな魚類の中でも親が子供に体から分泌した粘膜を給餌する『粘膜給餌行動』に着目しています。粘膜給餌は南米シクリッドであるディスカスS. aequifasciatus/ discusで有名です。最近の研究から粘膜給餌には栄養供給だけでなく、ホルモン・免疫の付与、共生菌の交換といった様々な機能があることがわかってきました。それらの特徴は哺乳類の授乳とよく似ています。また、粘膜給餌の中には親の粘膜を食べなくても成長できるけど、なぜか粘膜を食べる日和見的粘膜給餌種 (Satoh et al. 2019)とディスカスのように親の粘膜を食べないと餓死してしまう義務的粘膜給餌がいることがわかってきました (Satoh et al. 2017)。これらの行動は身体的コストを伴う行動です。なぜ、魚類が粘膜を子供に給餌するのか? そのことを明らかにすることで脊椎動物の給餌がどのように/どうして進化してきたかを明らかにできると考えています。

魚類の子育て戦略と家族間対立

上述した粘膜給餌のように魚類は様々な子育て戦略を持っています。このような中で、幼魚たちも親の持つ資源や子育て戦略をあわせてときには協力し、時には対立しています。私は、魚類のきょうだい間対立に着目した研究を展開しています。アフリカの古代湖タンガニイカ湖には多くのカワスズメ科魚類が生息していて、これらの子育て様式も多様です。また、子育て中のタンガニイカシクリッドの幼魚には幼魚同士がやたら喧嘩している種とそうでない種がいることがわかってきました。私はその中の一種、N. furciferに着目した研究を行いました。野外観察と実験の結果から、N. furciferの兄弟姉妹への攻撃性は満腹度や幼魚の密度、小エビの資源量に左右されることがわかりました。これは幼魚が小エビを巡って兄弟姉妹と縄張り争いをしていることを示しています (Satoh et al. 2019)。では幼魚たちは兄弟と喧嘩をしてまで、なぜ湖に豊富に存在するプランクトンではなく小エビを食べなければならないのか?喧嘩する種としない種では何が違うのか?幼魚同士の喧嘩が彼らの生活史形質に何を及ぼすのか?これらは今後の課題です。

​これ以外にも、魚類の擬態・栽培共生と子育ての関係性などについても研究を行っています (Satoh et al. 2017)。

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自己紹介: 出版物
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​魚類の認知能力と情動

例えば、魚類が子供に粘膜を給餌する時、我々と同じように子供に愛情を感じているか?兄弟と喧嘩するときに怒りを感じているか?これにの疑問は動物の行動を研究する人であれば恒久的疑問でありながら、長年ブラックボックスとされてきました。もし、この疑問が解消されれば我々の『心』がどのように進化してきたか明らかにできるかもしれません。

そこで私は魚類の認知能力や感情に関する実験を展開しています。特に最近チカラを入れているのは向社会的選択課題(PCT)という方法です。この方法では実験個体に『自分だけに餌』という利己的選択肢と『自分と他個体、両方に餌』という向社会的選択史を提示し、どちらを選ぶかを調べます (e.g., de Waal et al. 2008)。これを魚類に対してやってみるといったことをやったりしています(Satoh et al. 2021)。

​それ以外にも、ディスカスの表情の適応的意義や顔認知、魚類における心の理論の検証なども行っています (Satoh et al. 2016)。

自己紹介: 出版物
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